命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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受精卵を取り違えたら、中絶は当然なのか?
 香川県の病院で起きた胎外受精での受精卵取り違えが、大きな問題になっています。今晩も、ある著名牧師から電話がかかってきて、新聞に投書をするように強く勧められました。事件の概要は以下の通り。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090220-00000520-san-soci
 
 従来も同様の事故はあったようですが、今回のケースが大きく問題視され、問われてしまうのは、実際に妊娠をしたから。つまり、生命が芽生えたからです。

 取り違いの被害にあったご夫妻は、被害者ですから、悪く言うべきではないでしょう。最終的にどんなお気持ちで中絶を選ばれたかも想像するしかありません。

 しかし、多くの報道が中絶という選択に対して、是非を問うたり、大きな悲しみとして報じていないように思えるのは私だけでしょうか?

 当事者はご夫妻だけではないはず。芽生えたいのちもこの医療ミスの被害者。そして紛れもない当事者でしょう。中絶が選択されたのは、妊娠されたご夫妻の意思でしょう。でも、その受精卵の本来の主であるご夫妻の方の承諾はとったのでしょうか?文字通り、わが子が、代理母のように第三者の母胎で育っているのですから。それとも、間違えて戻した受精卵の主の夫婦が誰であるかは、その夫婦に知らせなくてもよいのでしょうか?

 そして、何より芽生えた命が、あたかも「生まれてはいけない命」、「不都合な命」であるかのように、闇に葬られていったことは正しいのでしょうか?このいのちを受け止めて育ててくださるご夫妻は日本中にいくらでもいらっしゃるでしょうに。本会のようにそれをお手伝いする団体も多くあるというのに。

 私は不妊治療を全面的に否定する考えではありません。しかし、命の発生に人の手が加わるほど、起こってくる人為的ミスや問題というマイナス面だけは知っておかなくてはならないでしょう。

 今回の事件において安易に「中絶は仕方ない」と思う日本社会であったとしたら、あまりに残念。間違っても「ミスだからリセット」という発想をいのちに当てはめることだけはやめて欲しいと願います。それではこの社会で繰り返し語られる「いのちは大切」という言葉はどんなにむなしいものになってしまうでしょう。

「どんな事情であれ、芽生えた命はかけがえのない命。生み出され愛され育つべき」と考える日本社会であって欲しいものです。取り急ぎ拙い記事ですが、記してみました。
| ヤンキー牧師 | 人工妊娠中絶関連 | 20:29 | comments(14) | trackbacks(1) | - | - |
 コメントをありがとうございます。不妊治療で苦労をしておられるご夫妻への配慮や理解は当然のことだと思います。でも、そのことによって不妊治療について公平に論ずることができなくなってしまってはならないでしょう。
 弱者ともいえる不妊夫妻の人権は大切ですが、胎児の生命や生存権はさらに本質的なことですから。ある意味において区別して論ずる必要があると考えています。
| ヤンキー牧師 | 2009/03/03 2:33 PM |
はじめまして。
私が感じていた違和感と同じことを考えておられる方がいることを知り、少し安堵いたしました。
間違われた両ご夫婦の気持ちは想像を絶するものでしょうし、二度とあってはならないミスだと思います。
でも、間違ったからリセットは当然、それでよいのか?中絶は本当に止むを得なかったのだろうか・・。どういう経緯で中絶に至ったのか、それを知らずに語るべきではないのかもしれませんが、なんだか悲しい気持ちになるのです。
想像の域でしか分からないけれども、不妊治療は本当に本当に辛く苦しいものだと思います。そしてそれを普通の人には分かってもらえないというのもまた、辛い現実であると思います。でも、牧師様がおっしゃりたいのは、そういったこととはまた別の問題なのですよね。

| t&a | 2009/03/01 3:50 AM |
細木さん、桂さん、ご意見や貴重な情報をありがとうございます。とても参考になりました。もう少し、詳細が明らかになるのを待ちたいです。
| ヤンキー牧師 | 2009/02/25 7:44 PM |
>取り違いであるかどうかを確認する方法が無かったという報道も有れば、早い段階で確認する方法が有ったのにそれを知らせなかったという内容のものも有ります。どうしてこういう混乱が起きるのか

ネットで下記の情報がありました。

>受精卵の「親」の判別…12〜14週目は困難
>受精卵が誰のものかを確定する方法について、沖利通・鹿児島大講師(着床前遺伝子診断)は「一般に妊娠6〜11週には『絨毛(じゅうもう)生検』といって、胎盤から胎児の細胞だけ取り出してDNA鑑定することができる。12〜14週の間は、胎児と母親の細胞を区別するのが難しくなり、15週になれば羊水検査で再び判別できるようになる」と話す。

ただし、絨毛生検は検査施設も少なく、危険も伴うとの情報もありました。

今回の事では事件当事者だけではなく、他の妊婦さんからも不安の声が上がっていて香川県立中央病院が設置した相談電話には「これから生まれる自分の子は大丈夫か」「証明する検査をやってほしい」など、約80件の相談や要望があったそうです。

私は何となくセベソ事故を連想しました。
イタリアのセベソで過去最大のダイオキシン流出事故が起きた時、周辺地域の妊婦さん達が胎児への影響を恐れて大勢中絶してしまったのですが、結果として事故後14年間の計198人の出生例では奇形児は0人で、特異な点としては初期七年間に於いての出生数が男児26人に対し女児48人であった位しか無かったそうです。

中絶を選択された方、今不安の中におられる方のお気持を思うと胸が痛みます。
| 桂 | 2009/02/24 1:35 PM |
ニュースを見ると、いろいろな情報がごっちゃになっているようです。取り違いであるかどうかを確認する方法が無かったという報道も有れば、早い段階で確認する方法が有ったのにそれを知らせなかったという内容のものも有ります。どうしてこういう混乱が起きるのか、理解に苦しみます。
| 細木 | 2009/02/23 12:26 PM |
 当人夫妻のことを思うと、簡単に本人達に向かって産むべきとは言うべきではないでしょう。私自身を含めてクリスチャンはともすれば、当事者感という愛なき正論を言いやすいものですね。注意したいです。
 この記事は安易な「中絶やむなし」というマスコミの論調に向かってのものです。それは既にご理解いただいていると思います。
 細かな事情が判明するほど、さらなる問題が発覚してきますね。機会があれば、また論じてみたいです。
 
| ヤンキー牧師 | 2009/02/23 10:22 AM |
  不妊治療をしています。子供が欲しくても,養子とて,簡単には縁組みできない世の中です。不妊治療をしている私の考えは,不妊治療をしたことのない方には,わからないところが多いのだろうと思います。

  報道を知って,最初に思ったことは,「生まれてからバイオロジカルな両親が引き取ることはできなかったのか。」でした。けれど,つづく報道や,ネット上での多くの無責任な第3者の書き込みなどから,さらに多くのことを考えさせられました。
  医師は,最終的にこの受精卵が移植された方のお子さんなのか,別のご夫婦のお子さんなのか,確認しなかったそうです。ですから,この胎児は,本当の親によって殺されることを選ばれてしまったのかもしれません。それを思うと,苦しいです。医師は,働きすぎて,疲れていたのかもしれない。そして,「取り違え」の妄想にとらわれてパニックを起こしてしまったのかもしれない。
  受精卵の本当の親御さんと思われるご夫婦には,医師は,中絶後に説明したそうです。中絶前に説明すると,中絶しないで欲しい,と言われると恐れたのだろうと,思います。一方で,妊娠していた側の患者さんが本当の親御さんと思われる相手に告知しないように頼んだそうですので,中絶を止められるのを恐れたのは,妊娠中の方だったのかもしれません。
  別の考え方もできます。
  妊娠中の方は,不妊治療の苦しさ辛さを知っているから,もうお一人の女性を苦しめないために,医師には何も言わないでいて欲しかったのかもしれない,けれど,パニックを起こしている医師が,後先考えずに,全て終わってから告知してしまったのかもしれない。
  いずれにせよ,一番辛いのは,40代で不妊治療に臨まれていた方だと思います。20代の方には,まだチャンスがあるけれど,40代というのは,これから治療を続けるのにしても,大変です。人工授精や,体外受精を受ける前の,検査だけでも,ふらふらになるほど気持ちが悪くなりますし,痛みもあります。体力的に20代とは比較になりません。

  けれど,流産することで,(中絶でもそうですが)体にかかる負担もとても大きいです。だから,20歳代の方も,また,焦ってしまったのかもしれません。

  子供さんがいらっしゃる方にはわからないと思いますし,不妊治療をしたことのない方にもわからないと思いますし,流産や死産で子供を亡くしたことのない方にも,わからないと思われる辛さを,背負って治療に臨んでいる人達の,苦しさを知っているので,おそらくは,この患者さん達は,本当には,胎児を殺したくはなかっただろう,と思います。ひょっとしたら,医師が,中絶をすすめたのが原因であったかもしれません。ですが,同じ産婦人科であっても,不妊治療を専門とする医師と,中絶を専門にする医師とは,比較的に見て,住み分けができているではないか,とも思われます。私が知っている不妊治療専門のお医者さんは,中絶に来た若い女性に,中絶がもたらす危険や,不妊で苦しむかたの気持ちを説明して,断っているそうです。

  非難することは簡単ですが,苦しんでいる人間の,その苦しさを理解する努力をしなければ,やっぱり,これからも子供を持つことにただただ焦る人間は出てくると思います。

  子供を亡くしたばかりの悲しい時に,聞きたくもない,他人の子供の自慢話を帰化せられたり,数人の子供さんがいるのにまた妊娠して幸せ自慢をする人がいたり,そういう苦しみというのもあることを,考えるべきだと思います。
  
  一番怖ろしいのは,他人の苦しみに鈍感な,普通の人々ではないでしょうか。
| boomboom | 2009/02/23 2:48 AM |
私もこのニュースを見てショックでした。殺さないで欲しかった。産んで欲しかった、と思いました。そこまでして、自分たちのDNAを持った子が欲しいのでしょうか、、、真意が分からないですが、本当に命の大切さを多くの人に分かってもらいたいですね。殺された子供のことを思うと胸が痛いです。
| ikapon | 2009/02/21 11:42 PM |
今朝(2/21付)の読売新聞1面左下のコラムの記事に感銘を受けました。一度ご覧下さい。
| パライソ | 2009/02/21 10:34 AM |
細木氏のコメントを拝読し、改めて中絶問題が胎児の人権問題であることを実感です。自らもかつて胎児であったことを忘れ、権力者側の発想にしか立たない自己本位性を痛烈に教えていただきました。
報道に同じように違和感を覚えたとのご賛同に励まされます。同時に守る会や同趣旨の働きの存在をなんとか一般の方に知っていただければと願うばかり。真実な応援をありがとうございます。
| ヤンキー牧師 | 2009/02/21 9:25 AM |
私もこの報道に違和感を感じてました。
受精卵の本当のご両親はどう思ってるのか、
またこの被害者ご夫妻の本当の受精卵はどこに行ったのか、
もしかしたら2人の赤ちゃんが死んでしまってるのか…
本当の親にも知られずに。

先生、新聞投書と言わず
テレビ出演もありだと思いますよ。
この報道のほとぼりが冷める前にじゃないと
すぐに事件のことは忘れられてしまうので…
| ハチ | 2009/02/21 7:59 AM |
このような形で命を奪うことを容認する国民は、為政者や独裁者の都合で命を奪われることも当然受け入れるべきです。

しかし、実際には、後者には猛然と反発することでしょう。

自分は助かる方、自分は管理する方という強者の立場で、命を弄んでいることに違いは無いことに気付くべきです。
| 細木 | 2009/02/21 2:03 AM |
切実な当事者感がありながら、明確に聖書的な価値観に立つ姿勢には、感動を覚えています。大きな励ましと応援に感謝するばかりです。
| ヤンキー牧師 | 2009/02/20 9:46 PM |
数年前まで不妊治療をしていた自分としては
今回の出来事はとてもショックでした。
私たちの場合は、人工授精までと決めていましたが、
それであっても人為的なミスは起こり得ますよね。
自分が、この当事者だったらどうしただろうと
考えましたが、中絶という選択肢はありえません。
聖書的価値観で命を考えることが出来ることを
主に感謝すると共に、本文中にもあるように、
守る会などに相談する方法もあることを知っているのは
大きな恵みです。

先生、ぜひ新聞へ投稿して下さい。
これをチャンスに、守る会の働きを世に知らしめて頂ければと思います。

| Uoo | 2009/02/20 9:21 PM |









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| きりなの日記 | 2009/02/23 8:19 PM |
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