命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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拓郎の「結婚しようよ」VS福山の「家族になろうよ」

 福山はさすがであります。どういう歌をリスナーが求めているか、的確にニーズを捉えて、マーケットを調査しているのでしょう。震災後に、人々が絆の大切さに気がつき、家族という本質に回帰していく心を見透かしたように、この歌かい!というベタさ

 そう、ベタだから「家族になろうよ」は売れるのです。何と言ってもフランス婚を提唱し、実践までした夏木マリでさえ、震災後は絆の大切さを認識しての入籍。「欧米か!」と突っ込まれかねない「フランス婚」も一転、「日本婚」へ。ちなみに夏木マリは、現代音楽のファンであります。まさに「バッハに帰れ」の音楽的表現ならぬ、原点回帰の結婚における表現になっているようです。

 「歌は世につれ、世は歌に連れ」の法則を逆利用したかのような、見事な作品であります。しかも、女性の立場に立っての作詞ですから、婚活系女子のハートはワシづかみ。さらには、結婚企業のCFソングになるというベタさ。「結婚すること=家族になること」という保守回帰的結婚観を、この歌は歌い、震災後の不安な国民の心の精神安定剤として機能したのでしょう。この楽曲が売れた最大の理由は日本社会に立派に精神安定剤として機能したからだと、またまた屈折した音楽評論をしてしまいました。

 そう考えながら、思ったのです。もしかすると、この「家族になろうよ」はあの「結婚しようよ」のアンチテーゼ、あるいは、「3・11以降バージョン」かもと。

 吉田拓郎はかつて歌いました。「僕の髪が肩まで伸びて君と同じなったら、約束どおり、町の教会で結婚しようよ」

 この歌に保守的な大人たちは怒りました。
「おい、男の方が髪が長いんかい!」(そういう男性が現われた時代)
「クリスチャンでもないのに、教会で結婚式かい!」(当時は結構反社会的だったかも)

 いずれにせよ、旧来の日本文化や価値観、結婚観に対する否定や批判、反抗があったわけです。結婚が「家制度」とか「家庭形成」とか「子孫繁栄」より、純粋に、両者の恋愛感情によるものとなっていった時代の歌。まあ、青いと言えばそれまでですが、まさに若者文化でありましょう。旧来の価値観を否定する「先鋭的な不道徳ソング」であります。

 それに比して、福山の「家族になろうよ」は、結婚が純粋な男女の恋愛感情を超えて、家族の絆をつくるものとして描かれています。保守政治家が聴いたら泣いて喜びそうな「保守的道徳ソング」であります。

 屈折している私にはこの歌、ツッコミどころ満載です。

選んでくれてありとう」だって!いまどき、そんな謙虚な女おらんわ!女が男を選ぶ時代だろ!

「いつか、父さんみたい、母さんみたい、おじいちゃん、おばあちゃん」だって?アンタの両親夫婦や祖父母夫婦は、ほんとに結婚のモデルになっとるんかい?今どき、そんなこと、そうそうないやろ?

あなたとなら、生きてゆける」だって?みんな最初はそう思うんじゃ!そう思ってスタートした結婚がどれだけ、破綻していることか!

 もう、ここまで来ると因縁つけてますね。この「家族になろうよ」は、震災後の不安感から、絆を求める社会に精神安定剤としての機能を果たす見事な歌です。ヒットするのも売れるのも当然です。しかし、この歌詞は、現実認識や展望性において著しく甘い、一種のユートピアイズムとも考えられます。これは一部の幸せな家庭に育った素直で甘い婚活系女子のおめでたい歌にすぎないのかも。

 拓郎の「結婚しようよ」VS福山の「家族になろうよ」は、ある意味「先鋭」VS「保守」であり「不道徳」VS「道徳」と言えるかと思います。しかし、両者とも、若さゆえの甘さとリアリティーのなさは免れないのでは?

 でも、それでいいのです。現実をリアリティーをもって正しく歌った歌など、大衆が聴きたいと思うわけがありませんから。どちらの曲も当時の「時代の精神」を描き、そのニーズに応答し、大衆の支持を得たということでしょう。福山も偉い!拓郎もさすがです。でも、アーチストとしての優秀さと歌詞の現実性は全くの

 婚活系女子の皆さんは、一見深く見えるようで実はベタなこの大甘な歌詞福山個人の魅力に騙されて、くれぐれも安易な結婚に走られませんように。この記事が頭と心を冷ます嫌味な機能を果たせたら、それもまた感謝かも。


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