命と性の日記〜日々是命、日々是性

水谷潔が書き綴るいのちと性を中心テーマとした論説・コントなどなど。
 目指すはキリスト教界の渋谷陽一+デイブ・スペクター。サブカルチャーの視点から社会事象等を論じます。
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ビール商品開発者に学ぶ「若者を振り返らせる本物追求」

 昨日は某所の待合室で、そこにおいてあった経済誌を読みました。そこでには、主要ビールメーカー4社で商品開発に携わるアラサー女性の対談が掲載。目が留まったのは、サッポロビール勤務で「エビスビール」の商品開発担当の女性の言葉。

 「若者に無理におもねるのではなく、本物を追求し、振り返らせる

 「エビスビール」は120年以上の歴史を持つブランド。きっと伝統芸能のようなもので、変化して進歩することよりも、いつも変らぬ同じ味であることが重要となるのでしょう。商品開発と言っても、味を変えようとすると、反対意見が多いようです。ですから、この商品開発担当は、味を変えるのではなく、熟成期間を長めにするなど、どうも「味を深める」、「味を極める」という努力をされた様子。それが、「本物を追求する」ということでしょう。逆にエビスビールは若者に無理におもねって味を変えたら、エビスビールでなくなるということ。

 福音をビールに喩えるのはどうかという意見もあるでしょうが、イエス様も福音をぶどう酒に喩えているので、お許しください。この記事を読んで、これは、若者宣教や信仰継承に通じるかな?と思いました。福音についてのその伝達方法や真理の表現は、若者向けに変えていくことが、できるでしょうし、聖書自身も宣教対象によって伝達方法を変えることを支持しているようです。

 しかし、エビスビールがそうであるように、福音の味を安易に変えてはならないでしょう。神の言葉100%の品質なのですから、そこに若者に無理におもねる味を混入すべきではないと思うのです。たとえば、「なりたい自分になれる自己実現の福音」とか「罪の教理なき、あるがままの受容オンリーの癒し系の福音」とか、福音全体を当世若者にとりあえず受けそうな味に変えてしまうのはどうでしょうか?

  「若者に無理におもねるのではなく、本物を追求し、振り返らせる」 

 この言葉には、自らも含めて考えさせられます。教会で説かれ、自分が信じているものは「正しい本物」なのです。しかし、教会から遣わされた家庭生活、職業生活、市民生活にあって、「本物に生きることを追求しているだろうか?」と。「未信者が見ている場面で、自分は本物を追求し、未信者を聖書の真理に振り返らせる生きかたをしているだろうか?」と。

 「正しいことを聞いて信じていること」と「本物を追求して他者を振り返らせること」とは、別のことであります。そう、「正しさ」と「本物」は別。前者は、「キリスト者であること」を意味し、後者は、「キリスト者として歩んでいること」を示すのでしょう。「信じる内容の正しさ」が「本物としての歩み」を保証するわけではありません。当然、「未信者の真理への振り返り」も保証しません。ローマ12章の冒頭で「生きた聖いそなえものとして自らを捧げること」「世と調子を合わせないこと」を大使徒パウロがまるで土下座するように懇願しているのは、きっと後者についてのことだろうと思うのです。

 私自身は、中高生や青年を対象にメッセージをする時、大人が対象の場合とは異なる要素が問われます。それは「本物度」「本気度」です。大人が対象の時は、「内容の正しさ」「説教の優劣」が問われる気が私はしています。もちろん、若年層にもそれらは大切ですが、それ以上に「説教者自身が本物で本気か?」が、会衆を前に迫られているように感じます。ですから「上手でなくてよいので、本物として本気で」という姿勢で臨みます。

 会衆にとって「本物を追求し、振り返らせる説教者」であるか?
 教会の若者にとって「本物を追求し、振り返らせる先輩クリスチャン」であるか?
 子どもにとって「本物を追求し、振り返らせる親」であるか?
 周囲の若い未信者にとって「本物を追求し、振り返らせるキリスト者」であるか?

 若者宣教や信仰継承の衰退には多様な原因があるでしょう。しかし、まずは、先に救われたものが、「本物を追求し、振り返らせるキリスト者」であるかどうかがローマ12:1,2の言葉の前に、自らが問われるのでは?

 振り返ろうとしない若者ばかりを非難し、失望しているのは、お門違いでありましょう。エビスビールのような福音なのですから、味を変えるのでなく、味を深め、極める本物志向の自分であること。それが若い世代を福音に振り返らせるのでしょう。そして、それは決して、安易な楽観論ではなく、聖書が支持する本道。しかし、最も私たちが苦手とし、逃げている本道かと思います。

 まさにそれを避けながら、若い世代の宣教や信仰継承を願うところに、今日の閉塞状況が生まれているのではないでしょうか。だからこそ、勇気をもってチャレンジしようではありませんか、「若者を振り返らせる本物追求」に。

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